そんなわけで、エルヴィスと言えば、ジャック・ウォマックの「Elvissey」。「Ambient」「テラプレーン」「ヒーザーン」に続くドライコ・シリーズの第4段。キリスト教が失墜した未来ではエルヴィスの復活を信じるエルヴィス教が台頭しており、この未来社会を牛耳る大企業ドライコは、平行世界(時間の進みが違うため、まだ1950年代である)へと続く異空間トンネルを使って、エルヴィスを誘拐しに行く計画を企てていた、というまぁ、なんともふざけた小説。我々の時代のエルヴィスの人となりを知った後で読み返すと、この平行世界のエルヴィスがまたとんでもない野郎でおもしろい。ふざけたあらすじとは裏腹に、物語は、黒人問題や夫婦と妊娠の問題などの重いテーマを巡る。本当、ウォマックは素晴らしい作家です。

Elvissey (Jack Womack)

Elvissey (Jack Womack)