空洞地球

ポー・リスペクトな小説と言って個人的に真っ先に思い浮かぶのがこれ。ポーと一緒にしっちゃかめっちゃか大冒険、な話。個人的にラッカーの最高傑作はこの「空洞地球」だと思っていて、ラッカーのマッド・サイエンティストな側面と、ポーを始めとする文学おたくの側面がうまく文芸としてまとまっているから、というのがその理由。物語の冒頭で主人公が読んでいるのが、チェスをプレイする機械仕掛けの人形は、実は人間が隠れて操作している、ということを詳細に推理したポーのエッセイ「メルツェルのチェス・プレイヤー」というのも、なんか"分かってる"感じがする。ラッカーは人工知能/人工生命の研究者でもあるしね。しかし、早川文庫の例にもれずこれも絶版。ガッカリ。

空洞地球 (ハヤカワ文庫SF)

空洞地球 (ハヤカワ文庫SF)